今の子どもたちが大人に
なるまでダムを長持ちさせ、
洪水から地域を守る。
- ダム管理支援
- 国土交通省
- ダム統合管理事務所
- I.Y.
人々の生活に欠かせないダム。
きちんと機能するように毎日徹底点検。
ダムには、大雨などのときに水を貯めて川があふれないようにする「治水」と、ご家庭や農地などに水を届ける「利水」という2つの役割があります。この両方がきちんと果たされるように、普段からダムの状態を管理・メンテナンスするのが私たちの仕事。具体的にはダムや貯水池、観測所などを回って、施設を点検したり観測データを収集したりしています。
もともと線路工事や港湾土木・潜水工事などの仕事をしていました。だから、この仕事に就いたときにはダムの知識はありませんでした。そのため入社当初は大変でしたね。たとえば、この仕事は雨の降り方などからダムの水位がどのように変化するのか把握するのが大事なのですが、経験がなかったので最初はうまくいかなくて。ベテランのみなさんは「あのときの雨と同じくらいの量だからこれくらい上がるな」って、かなり正確に予測してしまうんです。いまでも教わることばかりで、早く一人前にならないとって思います。
ただ、大きな構造物が大好きなので、ここで働けるだけでもすごく楽しいです。ダムとか橋とか好きな方におすすめですよ(笑)。巡視で長い距離を歩いたり、体を動かす仕事もあります。活動的なことが好きな方にも向いていると思います。
1日のタイムスケジュール例
08:15 時間に余裕をもって出社
通勤は車で1時間ほど。ダムにつながる峠の道路は蛇行しているので安全運転第一。冬は雪が降りやすく、路面がアイスバーンになるため、ほかの季節より15分くらい早く出発します。ダムが見えてくると、つい興奮してしまいますね(笑)。
08:30 始業
午前中はダムのなかを巡視。堤体(ていたい)の動きを施設内の機器でチェックしたり、ゲートの開閉などを行う操作室を点検したりします。これらはダムの状態を確かめるとても大事な作業。毎日欠かさず行います。
10:00 外に出て堤体や貯水池の
チェックへ
施設内の点検が終わったら、今度は外へ。キャットウォークからダムの様子を確かめたり、船で貯水池を巡視したりします。キャットウォークは地上から高いところにありますが、高所恐怖症の方でも自然と慣れるのでご安心を。
12:00 休憩
午前の仕事がひと段落ついたら休憩。お昼は管理支所のみなさんと一緒に食べることが多いです。遠くの観測所へ1日かけて点検に行くときなどは管理支所へ戻らずに、出先でお昼ごはんを食べます。
13:00 午後の仕事スタート
雨量観測所や水位観測所などへデータ収集と点検に向かいます。計測機器を点検したり、観測所のまわりの雑草や土砂を取り除いたりするのも私たちの仕事。草刈り機を使うことも。
16:00 事務資料作成や
メールチェックなど
点検から戻ったら、集めた観測記録の整理や、巡視・点検の報告書作成といった事務作業を行います。
17:15 退社
帰宅後はこどもと一緒に遊んだり、夕ごはんの準備をしたり。残業はほとんどないので、子育てと仕事も両立できますよ。
まちの5年後、10年後を守る。
ダムの維持管理は、目に見える成果物が残る仕事ではありません。むしろなにも起こらないことが成果だから、あとになにか残ってはいけないんです。また私たちの仕事の内容やその意義が、世間に広く知られることはあまりありません。だから人によっては、やりがいを感じにくい、報われにくい仕事だと思われるかもしれません。正直なところ、仕事に華やかさを求める人には向かない仕事だかもしれません。
私自身は普段、このように考えています。「いまの子どもたちが大人になるまでダムを長持ちさせて洪水から地域を守る。そのために毎日しっかりダムを管理する」、と。そうして地道に取り組んで、やがて5年10年たったとき、その積み重ねが最終的にやりがいになるはずと思っています。
これから集中豪雨がどんどん増えるといわれています。そのため、この仕事はいままで以上に重要になります。表には出ないし派手さはない。でも地域のために欠かせない仕事……そういう仕事に興味を持っていただける方と、ぜひ一緒に働きたいですね。